恋人ごっこ幸福論
「じゃあ…今日本当はちょっとくらいドキドキしてました?」
「ちょっとくらいは思ってるよ。……まあ、神山ほどではないけど」
「もう、結局からかってくる…!」
面白がられていることにやっぱり納得がいかないけれど、あはは、と笑う彼の顔が楽しそうでその顔を見ていたら、結局許してしまう。
私が許してくれることを分かっているから、きっと益々してくるんだろうけど。でも許してしまうんだよね、好きな人だから。
気長に頑張っても良いならもうちょっと気楽にいこう。よかった、安心するとなんだか一気に気が楽になる。
「公園一周したしそろそろ帰る?」
安心したのが彼にも伝わったのか、そう橘先輩に尋ねられると、はっとあることを思い出して。
「あ、今更なんですけど…お土産屋さんやっぱり寄ってもいいですか?」
「ああ、いいけど」
橘先輩の了承を得ると、館内の出入り口すぐにあるお土産屋さんに戻って来る。一旦出た後でも入れる場所でよかった。
「すみません、さっきはどうしようか焦っていっぱいいっぱいだったんですけど、やっぱり今日の思い出に何か買いたいなと思って」
「まだ夕方だし全然いいよ」
帰る時間だからか、人の多い店内を見渡してどれを買おうか選ぶ。
その時、ふとペアのキーホルダーに目がいく。