恋人ごっこ幸福論
「なんかあれが付き合うきっかけなんて今思えば皮肉なもんすね」
「今ではこうして並んでる姿見るのが日常になってるなんてね。いや~俺は嬉しいよ!」
溜息混じりに呟く紗英ちゃんとは正反対に、菅原先輩は凄く嬉しそうにしてくれる。
「ありがとうございます、菅原先輩」
「何ヘラヘラしてんだよ。気持ち悪い」
「全く、いいのか悪いのか分かんないけどねぇ」
「なんだよ~!せっかくこっちは感激してるってのにさあ!」
橘先輩、英美里ちゃんの突っ込みに菅原先輩が反撃するのを見ながらみんなで笑い合う。
5人でこんなふうに話す日々もいつの間にか日常になってきたな。これからももっとこんな時間が続いていくんだろうか、そう考えるだけで幸せな気持ちになれる。
「あ、そういえばみんな今週末の花火大会行くの?」
そんなことを考えていると、唐突に思い出したのか菅原先輩がそう聞いてくる。
花火大会か、そういえばファミレスの入口にもポスター貼ってあったような。