恋人ごっこ幸福論
「先輩、私とシェアしませんか?」
「それありだな。そうすっか」
「やった~、これで色々食べれますね。どれから買おうかな…」
「ねえねえ、フルーツ飴売ってるから3人で味違いで買いましょ!」
とりあえずイカ焼きと焼きそばを買おうとしていると、英美里ちゃんに手招きされる。
「俺買っとくから黒田のとこ行ってこいよ」
「いいですか?じゃあ後でお金出しますね…わ、こっちも美味しそう」
橘先輩に断りを入れて英美里ちゃんの傍に行くと、定番のりんごやいちごの他にパインやぶどう、バナナなど色んな種類のフルーツ飴が売られていた。
こんなにフルーツ飴って種類あるんだなあ。3人で悩みに悩んで、3種類の飴を別々に購入する。
「フルーツ飴って見た目可愛いね~しかも凄く美味しい」
「ひぃちゃんあんまり映えるもの見てなかったでしょ?こういうのもお祭りの醍醐味だからね。さ、写真撮っときましょ」
「これがほぼ目的だもんね」
水飴でコーティングされて光に反射するフルーツ飴と一緒に撮影すると、飴が溶けないうちに一口かじる。いちごにしたけど甘くって美味しい。
いくらでも食べられちゃいそう。これは買って正解だ。
「今日本当に来て良かった…可愛い…女の子最高」
「……お前冗談抜きで気持ち悪いからな」
傍で顔を覆いながらそう呟いている菅原先輩に、橘先輩が本気で引いている様子が目に入ったけれど、それは気づかなかったことにした。