恋人ごっこ幸福論
そのままフルーツ飴を食べつつ、他の目ぼしい屋台を見つけてはついまた買ってしまったり。人だらけの迷いそうな屋台通りをはぐれないようにしながらぶらぶらする。
どこもキラキラ、みんな楽しそう。英美里ちゃんは買ったものやみんなの写真を撮ってくれる。紗英ちゃんは菅原先輩に奢らせようと射的勝負に誘っている。
今日本当に楽しいな。
灯りのキラキラとどこもかしこも楽しそうな声が聞こえてくるこの空間に、少し前までだったら有り得なかっただろう居心地の良さを感じて。少し不思議だけど全然嫌な感じもしなかった。
「あれ英美里?」
お祭りの雰囲気に浸って居た時、ふと突然通りすがりの女の子からそう声が聞こえる。と、その瞬間。
「ゆっこ!久しぶり~来てたんだ」
英美里ちゃんがその声の主に話しかける。どうやら英美里ちゃんの友人らしく、久々に会ったのか他愛もない話をしている。
「偶然会うことってあるんですね」
「市内の大きい花火大会だからね~。結構みんな来てるだろうから案外誰かしらは遭遇するよね」
「そうなんですね…」
私は今まで来たことなかったから考えたことなかったけどこれだけ大きいイベントならそりゃそうか。
…自分基準で考えると知り合いに会うかもしれないっていう発想があまり無いけどみんななら有り得るかも。