恋人ごっこ幸福論
「まあこの前デート行ったしな」
「は!!!!????」
「聞いてないんだけど!?」
「詳しく!!!」
あっさりと2人でデートに行ったことを告白する。
みんなに話そうと思いつつも話すの忘れていたから、どうやら初耳だったようで。
こうなるんだからすぐ言っておくべきだったな…今更後悔しつつもテスト後に2人で水族館に行ったことをざっくり話す。
テスト勉強をした日にデートの約束をしていたこと。2人で食事をしてリニューアルオープンした水族館でデートしたこと。
あまりにも質問攻めしてくるものだから、ようやくまともに手を繋げたこと、お揃いのキーホルダーを買ったことまで話してしまった。
話を聞き終わった3人は、驚きつつもなんだかとても嬉しそうな、安心した顔をしていた。
「…まあ、橘先輩が真剣に考えてくれてるってのが嘘じゃなかったみたいで良かったわ」
「英美里ちゃん」
「でもまだ油断しないでよ。これから次第でやっぱり認められないかもしれないからね!」
「とりあえず安心したけどね」
「紗英ちゃんも…ありがとう」
2人の友人が、自分と橘先輩とのことを本当に喜んでくれることが凄く嬉しい。小さな進歩だけれど、みんながそう思ってくれるならより自信に繋がる。
それに何より。
「橘やっるじゃん」
「うっせーよ」
気の所為かもしれないけど、橘先輩も案外満更でも無さそうにしてくれるように見えるから。私としてはかなり大満足だ。菅原先輩も橘先輩に絡みながら、いつもの如く自分のことのように嬉しそうにしてくれる。
本当に、本当にみんなが喜んでくれて良かった。この光景を眺めながら改めてそう思った。