恋人ごっこ幸福論
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「ええええ!!??」
「変なナンパ男に絡まれてたですって!?」
「何それ、大丈夫じゃなくない!?」
「うん…それで遅くなっちゃって。ごめんなさい」
それから花火が終わった頃、ようやく3人と合流できた。
金髪の男性から逃げ切った後も念の為、さっき居た場所には戻らない方がいいと屋台どおりの方に橘先輩と2人で居た。
せっかく買った飲み物は温くなってしまったし、一応連絡は入れてたもののむしろ心配かけてしまうことになってしまった。
「巡回の警察官に報告しといたし大丈夫だとは思うんだけどさ。一応席の近くからは離れてたんだよ」
「そりゃ仕方ないっしょ~無事で良かったよ、橘と一緒だったからまだなんとかなったけど1人だったら大変なことになってたかもしれないし」
「そんな大袈裟な!特に危害も加えられてないし、皆には本当申し訳ないです」
「謝んなくていいって言ってるでしょ!ひぃちゃんの無事の方が優先事項に決まってるんだから」
「そうそう。緋那ちゃん達ゆっくり花火観れなかっただろうしむしろ災難だったんだから。そんな顔しないの」
「ありがとう~本当に迷惑かけてごめんね、2人共」
よしよし、と頭を撫でて許してくれる英美里ちゃんと紗英ちゃんに縋りつくと、先程の恐怖が和らいでようやく気持ちがほっとした。
自分でも思っていた以上に、知らない人に手を握られて詰め寄られたのは怖かったみたいだ。