恋人ごっこ幸福論




「…なんだよ」

「お前が緋那と付き合ってるのが納得いかねえ」

「は?」



ぐっと肩への力を入れている玲央ちゃんの腕を払うと不快そうに顔を歪める橘先輩。

心配してたことが早速起きてる!慌てて2人の傍に行って止めようとするけれど、私の姿など見えていないらしく。



「俺にはどーうもテメエが緋那の言うような良い男には見えねえ。緋那と付き合うに相応しくない、別れろよ」

「なんでお前にそんなこと決められなきゃなんねえんだよ意味わかんね」

「るっせえ!テメエのスカした面が気に食わねえんだよ!」



次の瞬間玲央ちゃんが橘先輩の胸倉を掴んで食ってかかる。全く動揺しない先輩に鋭い瞳をさらにギラつかせて。



「橘、だったか?お前も緋那を奪おうとする俺が気に食わねえんだろ?かっこつけてねえでもっと俺にかかってこいよ、どっちが相応しいかケリつけてやる」



獲物を狙う肉食獣のように、闘志満々で彼に詰め寄る。

一方的に喧嘩を売ってくる玲央ちゃんにさすがの橘先輩も不愉快に感じたのか、怪訝そうに眉を顰めた。








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