恋人ごっこ幸福論
――さらに昼休みになると。
「緋那、これ美味いぞ食ってみろよ!」
「私自分のお弁当で充分だから大丈夫」
「緋那、見ろよ猫の動画すげえぞコイツ」
「う、うん。後でね」
「緋那!今度お前ん家の近所にプリン屋が出来るらしいぞ!」
「うんうん、知ってるから!今度行くつもり!」
「緋那、ほらこれ…」
「玲央ちゃん!!私今橘先輩とお弁当食べてるんだけどさっきから何!?」
1つ会話を交わしたと思ったらまた次の話。いよいよ耐えられなくなってつい立ち上がる。
いつも通り橘先輩と2人視聴覚室でお昼ご飯…のはずが。当然のように何故だか玲央ちゃんが加わって、さっきから一方的に話しかけられている、というのが今の状況。
「そんなん邪魔してるに決まってんだろ」
「そ、そうだと思ったけど!お昼の時間くらいやめてよ」
「昼飯の時間こそ邪魔すべきだから無理」
堂々と予想通りの解答をしてくる玲央ちゃんに抗議してみても、やっぱり頑なに聞いてくれそうにない。
玲央ちゃんのマシンガントークのせいか、元々橘先輩と話してたはずなのに彼はさっきから全く話さず無言でパンを食べている。(おそらく玲央ちゃんの存在も無視することにしたんだと思う)