恋人ごっこ幸福論
「それ玲央ちゃんじゃなくて橘先輩にあげるやつだったんだけど!」
「見てたから知ってるっての。油断した緋那が悪いな」
「わっ、ちょっとやめて!」
すっかり油断していた隙にぐいっと玲央ちゃんに肩を引き寄せられる。
「だーかーら嫌がってんだろうが」
けれどすぐに橘先輩が引き離してくれて。ふと2人を見れば案の定、さっきも見たような光景が目の前にあって。
「うるせえな俺の勝手だろ。別に緋那が嫌がってるなんて言ってねえだろ?」
「え、私は普通に嫌だよ!?」
「嫌だって言われてんじゃん、いい加減にしろよ」
「やだね、緋那がテメエと居るとこ見てらんねえし。別れるって言うまでぜってえ続ける」
「お前本当に何なんだよ!」
……最終的に昼休みも、さっきの休憩時間同様の言い争いが続いて。
どうにか止めようと頑張ったけれど、やっぱり上手くいかずに昼休みが終わったのだった。