恋人ごっこ幸福論






「えっと、お2人さんLINE交換してたの?」

「あっ、…」



そうだ、これから本当かどうか確認しようと思ってたから説明してないんだった。

どうやって伝えようか考えていると、橘先輩にぐいっと肩を引き寄せられて。



「ああ、昨日から付き合うことにしたから」



私が何か考えるよりも先に、彼はさらっと3人へそう報告する。



「ええええええええ!!!??」

「どういうこと!!??」

「意味わかんないんだけど!?」



驚いて体育館に響くほどの声を上げる3人。や、やっぱり本当だったんだ?と私も彼の隣でつい驚いてしまう。



「これで信用したろ」

「し、しましたけど」



それより、こんな堂々と誰にでも聞かれるところで付き合うことを告白するなんて…少し意外だ。

むしろどちらかと言えば周囲の人間にもあまり自分から言わなさそうなのに。すぐ体育館来て、というのは皆に報告するつもりもあってのことだったのだろうか。



「橘どうしたんだお前、今までそういうの興味ないって言ってたのに。詳しく説明しろよ!」

「今部活中だろ。じゃ、俺は要件済んだし練習戻る」

「いやいや要件済んでねえよ!報告だけじゃわかんないよ!」

「んなもん後でいいだろ、菅原も練習」

「…緋那ちゃん、あの人落とすのに成功したの?」

「いや、それは…」



紗英ちゃんの問いかけに思わず口篭る。どうしよう、どう経緯を説明したらいいんだろう。自分でも唐突過ぎてよく分かってるような、分かってないような状況だし。






< 60 / 223 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop