恋人ごっこ幸福論





「まあ…好きになってくれてはないけどとりあえず付き合ってみる、的な」

「ええ~何それ?」

「別に彼女欲してなさそうなのによくそうなったね」



それっぽく経緯を要約して伝えるけれど、2人は疑念しか感じなかったようだ。本人前にして、英美里ちゃんと紗英ちゃんにこれ以上どう言ったらよいのか考えていると。



「あ、お前まさか恋愛知らないのがムカつくから付き合ってみるとか言ったんじゃねえだろーな…!」



菅原先輩がまさしく的を得た回答をして橘先輩に詰め寄った。

…大正解だ、さすが“自称”親友。

菅原先輩のご名答を聞いてついぎこちなく身動きを止めてしまった私に、3人の注目が集まる。菅原先輩の予想が当たっていると気づいた3人は、困惑した表情をしてそのまま抱いた感情の矛先を橘先輩へと向けた。



「橘!!!さすがにそれはやっちゃ駄目でしょ!」

「そうよ!てかそれって、ひぃちゃんのこと便利な女として使うってことでしょ?どういうつもりなんですか!?」

「別にどういうつもりも何も…さっき菅原が言った通りだけど」



パニック状態の菅原先輩と英美里ちゃんに詰め寄られるもさらっと冷静に認める橘先輩に、3人の表情が歪められる。






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