恋人ごっこ幸福論
「大丈夫なわけないでしょ!私はあんまり納得いってないもん」
「…あたしもだけど。緋那ちゃんなんかあったら言ってよ。とりあえずこっちは様子見するつもりだから」
「う、うん。あ、菅原先輩。邪魔してすみませんでした、って伝えてもらってもいいですか?」
「今日は橘から来たんだから全然いいのに~…まあ一応言っとくね」
じゃ、と手をひらひら振って菅原先輩もコートへ向かっていくのを見送った。
急だったからか、本当に凄く心配されてるな。
これは早く納得してもらえるためにも、恋人らしくすることを考えた方がいいかもしれない。
「ひぃちゃん、とにかくほんっっっとうに何かあったら言うのよ!!必ず!!」
「やばい時はあたしら干渉すっからね」
「は、はい…」
特にこの2人には、全く信用されていない。
友達だと思ってくれてるからだということも、2人が本当に良い人だから気にしてくれるのだということは分かっているけれど、やっぱり複雑だ。
「(これは今まで以上に大変かも)」
これから先のことを考えると、つい溜息が漏れるばかりだった。