恋人ごっこ幸福論


***




そして次の日のお昼休み、昨日急遽決まった一緒にお昼ご飯タイム。

あの後LINEで場所をどこにするかという話になり、昨日意気揚々と“任せてください!”と場所探しを引き受けたのだが。



「…で、なんでここなわけ?」

「え、えーっと…それはですね」


人目につくところで2人で食べるのはまだ少し恥ずかしくて、私が提案した場所は屋上…行きのドア前の踊り場。


「こんな薄暗いとこどう考えても飯食うとこじゃないだろ。そんなに隠れたいかよ」

「そ、そうですけど!食堂も教室も人目について緊張するし、だから屋上良いかなって思ってたんですけど………入れなかったんだもん」

「まあ、そりゃ入れねえだろうけど」

「他にあても思いつかなかったし…案外悪くないかな〜と思ったから」

「どこがだよ」

「すみません…」



案の定、橘先輩から批判を食らっているというわけだった。


「ったく、それなら最初っからそう言えよ」


はあ、と溜息をつきながら橘先輩は立ち上がると、お昼ご飯が入っているだろうビニール袋を手にすたすたと階段を下りていく。

まさか、呆れちゃって一緒には無理ってことでは。


「やっぱり駄目ですか!」

「駄目」

「そ、そんな…」


せっかくの機会だったのに…もし屋上入れたら違ったかなとショックを受けていると。下まで降りた橘先輩が怪訝そうな顔を向けて来た。



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