恋人ごっこ幸福論
『なんか言うと思ったわ』
「う、…橘先輩は、何が好き?ですか」
『結局流すのかよ』
恥ずかしくなって結局攻めきれないし、これでも粘ったつもりだけどなんだかみっともないことにしかならない。本当、下手だな自分。
『俺もぱっと浮かぶのは食べること以外なら…あ、バスケはまあ好きだけど』
「そういうイメージありますね。他には?」
『他?まあ猫よりかは犬の方が好きだわ』
「ええ、そっか…そこは一緒じゃないんですね…残念」
『別に猫も好きだけどな』
なんだか、こうやって何気なく話すのっていいな。
ちょっとしたことでも知れたら、そう思っていたからこそ電話の時間を提案してくれたのって凄く名案だと思う。
学年も違うし、かといって休憩時間の度に会いに行くわけにもいかないし。放課後か朝に少し会うくらいしかゆっくり話せる時間が無いから、こうやって少しでもお互い会話できる時間があるのって素敵だな。
急に提案された時は吃驚したけど、今凄くよかったと思ってる。
「…橘先輩、ありがとう」
『?は、どした急に』
「こうやって、電話できて嬉しかったから言いたくなっちゃって」
『…さすがに、全部お前任せは駄目だと思ったから電話しようつっただけだよ』
「でも楽しいです。今後も…良ければしたいです」
『いつでもすりゃいいだろ』
素っ気ない態度ばかりなのに、こういう優しさを見せてくれるから好きが増していく。
本当に好き、大好きだ。