恋人ごっこ幸福論




「最初の試合の日、土曜日なんですね」

「ああ、午前に他校の試合観て午後にうちの試合」

「そうなんですね!応援行っても大丈夫ですか?」

「好きにしたら」



きちんと試合する姿観るの初めてだから、すごく楽しみだなあ。

いつも放課後の練習では少ししか観られないから先輩がバスケしてる姿を思う存分目に焼き付けておこう。



「へーてか試合午後からなのに午前中から行くなんて面倒っすね」

「一応他の試合観るのも勉強になるから。大体どのスポーツもそうなんだよ」

「ふーん、そうなんすね」



紗英ちゃんの質問に答えている橘先輩を見ていると、ふとあることをひらめく。



「あの!橘先輩」

「ん、なに」

「1日がかりならその…私お弁当作って持っていってもいいですか」

「お!なにそれ!めっちゃいいじゃん」



橘先輩が何か応える前に先に菅原先輩が声をあげる。

もし可能ならただ観に行くだけじゃなくて、何かできることしたい。先日の卵焼きも気に入ってもらえたみたいだし私のできることで今1番喜んでもらえそうなことなら、やるしかない。

…それに。








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