私は醜い裏切り者
春風が気持ちいい。
高校二年の春は良い天気だ。
去年の春は、ちょうど雨が降り桜が平然と散ってしまった。
悲しい春だった。
スーッと息を吸い込む。桜が香る空気は私の体の中の空気を洗い流してくれるような、そんな澄んだ空気だ。
「ーーはぁ、今日から高校二年生かぁ」
私、久本杏里(ひさもとあんり)は今日も平凡な毎日を過ごす、ごく普通の女子高生。
そんな私が変わった変化といえば、数ヶ月前に別れた彼氏がいた事。
長続きしなかったが今でも、話をする大切な友達だ。
その彼の名前は、古川真斗(ふるかわまさと)くん。
メガネをかけたちょっとオタクな彼は、ガンダムや可愛い女の子が出てくるアニメが大好きだった。
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