私は醜い裏切り者
「……あの日々はもう帰って来ないのかなー」
価値観の違いで別れる事になってしまった事を、私は未だ引きずっていた。
みっともない。こんな惨めな思いをするぐらいなら、こんな恋愛なんてしなければよかった。
それを大人はしないよりした方がいいよなんて、フォローするのだろう。だが私にとっては最悪な結果だ。
今でも彼に少し気がある。
だけど、戻れない。何故なら相手はもう冷めきっているからだ。
ーーこれは、もう縁がなかったと割り切るしか無い。
中庭の春の桜を見ながら、一体何を考えているんだ。私は。
今日から新しい環境に慣れなければならないというのに。
私はそんな桜に背を向けながら、教室へ向かうのであった。