私は醜い裏切り者


一年の頃、私はどうやってこの昼休みという地獄の時間を過ごしていたんだっけ?





数ヶ月前に遡る。






ーーそうだ、毎日彼氏と一緒に食べてたっけ。





それは、楽しい日々だった。





お弁当のおかずは何が好きとか、アイドルとかは誰が好きとか。




そんな話ばかりしてた。中庭のベンチに座って二人話していた時間が懐かしい。





ーーって、こんな事考えて何になる? 前向きにならなきゃ!!





抑えていた涙が、グッと出てきた所で顔をパシッと叩く。





私が、次の目玉焼きを食べようとした時だった。





「……久本さん、かな?」





いきなり声をかけられて、ビクッと肩を震わせて、目玉焼きを落とした。





「……え、えっと……」





名前を覚えるのが苦手な私は、どう話していいか分からずコミュ障が発動する。




目の前にいる男の子はとてもかっこいい。





まるで絵本の中から出てきた王子様みたいだ。





金髪のメッシュした髪が太陽の光をキラキラ反射して、右耳にリング状のピアスをしていている。






こんな、私に一体何のよう?





ふと、後ろを見ると複数の男子達が「梓(あずさ)ガンバ」と話している。






「ガンバッ」って、何を応援してるの?





「……久本さん。俺と弁当食ってくんない?」




ありえない返答に、一瞬息を飲んだ。



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