私は醜い裏切り者
どうして、梓くんが私とお弁当を一緒に食べてくれるんだと不思議に思った。けれど、断ると変な空気になるだろう。
だから、黙って梓くんの後をついてきてみたけれど……。
ーーここ、元カレと来た中庭だ……。
あんまり来たくない所で、お弁当を食べる事になってしまった。
「ここで良いかな? 食べても?」
私はコクリと頷くと梓くんはベンチに座った。
「何緊張してんの。 同じクラスメイトでしょ? 隣に座ってよ」
ビビリな私は、あわゆく隣に座る。
「ふふっ、かわいい」
その言葉を聞こえなかった私は「あの……どうして私とお弁当を?」と聞き返した。
「え?どうしてって?」
「その……梓くんみたいな人がこんな地味な私に話しかけてくれるなんて、考えもなかったから……」
「えっ……と、そうだな。なんて言えばいいかな。うーんと……」
梓くんが黙った。
こりゃまずいこと聞いたかもと、内心ヒヤヒヤしていたが……。
「俺、ぶっちゃけて言うと、杏里ちゃんのこと好きなんだ」
へー、好きなんだ……って、え!?
「わ、わたし!?」
「そう杏里さんの事が好きなんだ。他の人たちよりも可愛いもん。男子のみんなよく話しかけてみたいっていってるの知らない?」
突然の告白に息を飲む。
「だから、これからも一緒にできれば俺の友達とも一緒に食べない? 一人でなんて食べないでさ」
突然そう言われてしまったものだから、どうして良いか分からず、とりあえず「は……はい」と答えてしまった。