私は醜い裏切り者
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「あー、どうしてあんな事言っちゃったんだろう……」
相手は、学校一のいや、下手をすれば芸能界で活躍するほどの容姿の持ち主。
きっと、裏があるような感じがする。
でも、これってある意味神様が新しい恋に進めって言ってる事?
わたしはそんな事を頭の中でぐるぐる考えながら、学校が終わった帰り道、一人歩いて帰っていたんだ。
ーーでも、好きなのはやっぱ元彼……。
それだけは、なぜか譲れなかった。
「……あーっ!!もう、どうすれば良いのよー!!」
そんなこんなで悩んでいたら。
「……杏里ちゃん?」
後ろから声が聞こえた。
その声は、落ち着くような優しい声だった。
そう、一年の時嫌な事も、嬉しい事も、全て包み込んでくれた声。
「真斗くん……」
そう、わたしが思いを寄せる元彼がそこにいたのだ。
古川真斗……昔のあだ名は「まさ」……恋人同士の名前。
「どうしたの? そんなくらい顔をして?」
どうしたのって心配してるけど、もう付き合う事なんて考えてないくせに。
いわゆる、思わせぶりな感じが彼の悪い所。
でもそれが憎めないし、嫌いになれない。
そんな気持ちが溢れでて、胸がキューっと苦しくなる。
「別に、もう関係ないわよ。ていうか、そんな風に付き合う気もないのに優しくしないでよ」
そう突き返してみるも……。
「付き合ってはないけど、友達でしょ?友達が悩んでいるのに見捨てるなんてできないよ」
……本当ズルイ。
こうだから、私はあなたの事が諦めきれないんだ。
「ねぇ、何があったか話してよ。そんなくらい顔をしてると、みんな心配しちゃうよ……」
卑怯な奴……まぁいいや。どうせ話しても、「なんだ、好きなら好きってアタックすれば良いじゃん」って言うだろう。
「あー、分かった。分かったわよ!! 話すからちょっと公園やよってもいい?」
「うん。でも、付き合うとかは無しだよ?」
また、胸が苦しくなった。