眠れぬ夜に花束を
「今日ね、サークルの先輩が誘ってくれたんだ。今度一緒に遊びに行かない?って」
薄闇のワンルームに、私の声と呼吸が響く。見失った体温は戻ってこないまま。あの日から、私はゆるやかな微熱を保っている。
ねぇ、私、君がもう一度笑ってくれるなら、熱にうなされたっていいんだよ。
だからさ、ちょうだいよ、そんな熱。
「……やっぱり、行くなとは言ってくれないか」
わかりきった答えを、未練がましく咀嚼する。痛みを確かめるように、心臓に手を置いて、その感覚に安堵した。
いつか、痛まなくなってしまうんじゃないかと思った。そのときが来るのが怖くて、布団にくるまって怯えていた。
どうせなら、綺麗な思い出よりも、一生忘れられない致命傷がほしかった。
篝は優しい。そして同時に残酷だ。