眠れぬ夜に花束を
「その人ね、私に可愛いねって言ってくれたんだ。篝はそんなこと言ってくれないのにね」
私が可愛いって言ってほしいのは、今でも篝ひとりなんだよ。篝じゃないと意味ないの。
髪型を変えたり、新しい服を買ったり、そのたびにいちばんに篝に見せて、感想を催促していたっけ。篝は、また今度、としか言わなかったけれど、耳が赤く染まっていたのが後ろからでもわかった。
それが今じゃどうだろう?変わったのは彼か、それとも私か。夜が来るたびに切なさがよぎって苦しくなる。夜が来るたび、寂しさを思い出す。
ほら、また、逢いたいと思った。好きが強くなった。篝が好きだ。