眠れぬ夜に花束を
「篝は知らないだろうけどさ、これでも私、結構モテるんだよ?うかうかしてると、どっか行っちゃうよ」
篝のためにおしゃれして、篝のために努力して。そうしたら、いつか篝はあの頃のように、もう一度笑ってくれるかもしれないと。
──ああ、バカみたい。
篝が好きだと言ってくれた私は、今の私じゃなくてあの頃の私で、私が抱えた想いは、すべてあの頃の篝に向けられたものだ。
気付かずにいれば、幸せでいられた?
無理だよね。だってやっぱり好きだもん。
「私をほったらかす篝なんて、もう知らないよ」
篝がくれた幸せが、疼いて疼いて苦しいんだよ。