ファイヤークイズ午後の部
あの日はとてもいい天気だった。


梅雨の晴れ間で久しぶりに祖母に会いに行こうと思い立ったのだ。


両親は祖母と絶縁状態になっていたが、あたしは月に1、2回祖母に会いに行っていた。


いつもは前日に連絡をしてから祖母の家に向かうのだけれど、その日は連絡をしていなかった。


雨の中訪れた晴れ間が嬉しかったから、祖母の大好きな苺大福を購入してバスに乗った。


祖母の家までバス停5つ分の距離。


充分、会いに行ける距離だった。


バスを降りて1分ほど歩くと、昔ながらも大きな家がある。


そこが祖母の家だった。


今は祖父が入院中のため、祖母は1人でこの大きな家に暮らしている。


お盆や正月といった時期には、この屋敷のような家が親戚の人たちでひしめき合うのだ。


『おばあちゃん、来たよ』


そう声をかけながら勝手口を開けて中へ入る。


用心のため、玄関は常に施錠させている。
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