ファイヤークイズ午後の部

目には一杯の涙をためているが、こぼれてしまわないように必死で我慢している。


「あれが夏子？」


冷めた口調でそう言ったのは友香だった。


友香と夏子なら、同じくらいに可愛いと感じられた。


けれど、友香は派手系な可愛さで、夏子は清楚系なのだ。


見た目判断だけなら、守ってあげたいと思うのは夏子の方だった。


「一真助けて！」


夏子は必死で身をよじって一真へ近づこうとする。


一真も同様に、夏子へ近づこうといている。


しかしお互いにその距離が縮まる事はない。


見ているだけで、胸が痛くなる光景だった。