ファイヤークイズ午後の部
《それではクイズです!》


アナウンスの声に一真が動きを止めた。


のどぼとけを上下させて、唾を飲み込みジッと耳を傾けている。


一真の様子を見て、夏子も同じように静かになった。


2人とも、言葉はなくても信じあい、通じ合っているのがわかった。


なのに、どうして一真は友香と関係を持ってしまったのだろう。


一時の気の迷いだとしても、許せない気持ちが湧いてくる。


《個人情報の流出先はどこですか?》


その質問に一真はすぐに答えた。


「個人情報は東野海(ヒガシノ カイ)に渡した!」


聞きなれない名前だった。


「さっきそこにいた男だ」


そう言って、ステージへ視線を向ける一真。


「さっきの人質のこと?」


あたしがそう聞くと、一真は頷いた。
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