ファイヤークイズ午後の部
浩二と一緒に詐欺を働いていた人間に渡したのだ。


その個人情報がどんな風に使われたのか、想像しなくても理解できた。


「どうしても、金が必要だと思ったから」


一真はそう言い、今度は友香へ視線を向ける。


友香はステージ上の夏子を睨み付けていた。


その視線には嫉妬心が入り混じっているように感じられて、混乱する。


友香は色んな男と関係を持っていたのだから、1人の男に固執することはないと思っていた。


それとも、友香のような人間はいつでも女王様気分を味わいたいのだろうか。


複雑な人間関係が繰り広げられる中、今度はあたしの番だった。


《続いての回答者は川野佐和さんです!》


こうして一回ずつ回答者の名前を呼ぶのは、視聴者にわかりやすくするためだろうか。


そんなことを考えながらステージを見つめる。


すでに夏子の姿はなく、次の大切なものが出て来るのを待つ段階になっている。


《ではさっそく、大切なものからどうぞ!》


アナウンスの声と同時にテーブルがせり上がって来る。


そこに、いたのは……。


「お母さん!!」
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