ファイヤークイズ午後の部
あたしがスイッチの前に到達した瞬間にそう言われ、ビクリとしてスピーカーを見上げた。


見慣れたスピーカーの向こうで笑っている人間の顔が思い描かれた。


《あなたは他の3人を殺しますか? 殺すのなら、そのスイッチを押してください》


その内容にあたしの心臓は大きく跳ねた。


このスイッチを押すと、3人が死ぬ……?


あたしは浩二へ視線を向けた。


青ざめた顔で必死に左右に首を振っている。


いつもの大きな態度はどこかへ消え去ってしまったようだ。


次に、一真を見た。


一真は涙を浮かべてあたしへ謝罪している。


でもその言葉は支離滅裂で、いつもの頭の良さは見られなかった。


最後に、友香を見た。


友香は整形で手に入れた綺麗な顔をグシャグシャにゆがめ、叫んでいる。


せっかく手に入れた美貌は、死を目前にしたら無意味だった。
< 70 / 71 >

この作品をシェア

pagetop