【コミカライズ】黒騎士様から全力で溺愛されていますが、すごもり聖女は今日も引きこもりたい!
 ジュリオには一角獣への愛情がない。彼にとって一角獣は、国に祝福をもたらす聖獣ではなく、利益を生み出す商品なのだ。

(この人に国を任せたら、大変なことになるわ)

 利益を生み出せなくなった聖教国フィロソフィーを、ジュリオが守っていくとは思えない。ジュリオが聖王になった時点で、ガレアクトラ帝国への従属は決まったようなものだ。

 ルルは悪寒に身を震わせた。
 それを一笑して、マキャベルはジュリオに説明していく。

「この飛来地にいるのは、空を飛べなくなった個体だけです。自由に触れても逃げられることはありません。背に乗ってみてはいかがですか?」
「背に乗れるのかい! ずっと乗ってみたかったんだ。じゃあ、この子にするよ」

 ジュリオは、ルルにすり寄っていた一角獣の折れた角をつかんだ。
 一角獣が嫌がって逃げようとするのを、側仕えの軍人たちが抑える。

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