【コミカライズ】黒騎士様から全力で溺愛されていますが、すごもり聖女は今日も引きこもりたい!

3 わけあって聖王さまはお隠れです

「ありました」
「へ?」

 体を起こした騎士は、金貨を一枚つまんでいた。

「ルルーティカ様を運んでいる間、毛布のなかにキラキラしたものがあって、気になっていたんです。髪に絡まっていたようですね」

 ルルは拍子抜けした。そういえば昨晩、帳簿の金額があっているか確認するために、金貨を数え直しているうちに寝落ちしてしまったのだ。
 そのとき落として、毛布に紛れこんでいたのだろう。騎士が覆い被さってきたのは、拾いものをするためだったのだ。

(なにが、穢されるー、よ)

 ルルは、恥ずかしさに赤くなった顔を手で隠した。
 笑われてやしないかと指のあいだから騎士を見ると、彼は興味深そうに金貨を見回している。

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