【コミカライズ】黒騎士様から全力で溺愛されていますが、すごもり聖女は今日も引きこもりたい!
 そこでひらめいたのが、兄イシュタッドが信頼していた聖騎士団長だった。
 兄の腹心という立場と、ルルーティカ王女とほどほどに近い関係性、団長としての権威。さらに屈強な見た目は、陰口をおさえる抑止力になる。

「引き受けてくださって感謝いたします。わたしは、ダンスがあまり得意ではありませんので、踊り甲斐はないかもしれませんが……」
「細いヒールで足を踏まれなきゃ十分。王女殿下のお相手なんて光栄だ。だが、本当にいいのか?」

 ヴォーヴナルグは、気まずそうに背を丸めた。
 
「さっきから、隅に控えてるノワールが、ギリギリ歯をくいしばって、血の涙を流しているように見えるんだが……」
「え?!」

 ルルは、ぱっとヴォーヴナルグから離れた。蓄音機のそばにいたノアは、さすがに血の涙を流してはいなかったが、射殺しそうな視線をこちらに向けている。

「ノワール! そんなに踊りたいなら、王女のダンス相手はお前がやるか?」

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