【コミカライズ】黒騎士様から全力で溺愛されていますが、すごもり聖女は今日も引きこもりたい!
 ギリギリと歯を鳴らすと、ノアはソファに囲まれたローテーブルに、運んできた麻袋を三つ下ろした。カシャンと金属が擦れあう音がする。

「修道院に行って口止めして、ルルーティカ様の私物を持ってきました。本と、手紙の束と、寝間着が三枚、ショールが一枚、靴は一足。壁のベッドに敷いていたマットを外したら金貨が大量に隠してあったので、それも」
「ありがとう。それで全部よ」

 年頃の少女にしては、持ち物が少ないかもしれない。
 だが、眠って起きて数えてまた眠るルルの生活では、そもそも必需品というのがあまりなかったのだ。

「慎ましやかに生きてるには、それくらいで十分だったの」
「それにしては少なすぎます。貴方は仮にも王女です。国費であつらえた服飾品が毎年贈られていたはずですよね? それはどうしたんですか?」

 するどい指摘に、ルルはギクリと肩を跳ねさせた。

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