【コミカライズ】黒騎士様から全力で溺愛されていますが、すごもり聖女は今日も引きこもりたい!
 ヘレネーは、先の聖王の妹で、現ガレアクトラ帝の妃で、ジュリオの母親だ。
 ガレアクトラ帝国に嫁いだ彼女は、輿入れのさいに高価な魔晶石を山のように持っていき、有力者に分け与えることで帝国内での地位を確立した。

 もう一つ、ルルーティカが持っている情報をつけ加えると、たぐいまれな美貌と知性を持つヘレネーは、イシュタッドの初恋の人だった。

「息子のジュリオを噛ませて、密輸で利益を得ている大本はあの人だ。ガレアクトラ帝国内にいるヘレネー派の権勢を崩すために、聖教国フィロソフィーの使者が大手を振ってヘレネーに会いに行ける機会がほしい。ということで」

 イシュタッドは満面の笑みで、ルルーティカに自分の理想を突きつけた。
 
「ルルーティカには、次の聖王になってもらう」
「無理ですわ! わたしは巣ごもり上手くらいしか、人に誇れるところのない王女なんですのよ」

< 249 / 295 >

この作品をシェア

pagetop