【コミカライズ】黒騎士様から全力で溺愛されていますが、すごもり聖女は今日も引きこもりたい!
 ノアの指先が、ルルのくちびるをかすめる。
 
「パン一つ上手に食べられないなんて。子どもみたいですね」
「私は子どもじゃないわ。ノアも食べたら?」
「ルルーティカ様のお腹が満たされたら残りを食べます」

 まるでお父さんみたいな事を言いながら、ノアは運ばれてきた紅茶を飲んだ。

「ノワール?」

 突然、話しかけられた。通りの方を見れば、白い団服を着た若者が数人いた。

「お前、こんなところにいたのか。前触れもなく『聖騎士団やめます。探さないでください』って手紙を置いて寮を出たから、団長が怒りくるってたぞ」

 彼らはノアの元同僚のようだ。
 しかも、ノアは聖騎士団を置き手紙だけで出奔したらしい。

 もとより、彼の心は忠誠を誓った聖王ではなく、ルルーティカの方にあったようだから未練がないのだろう。
 騎士たちに何を言われても、しれっとしている。

「私は戻らない。ルルーティカ様のための新たな聖騎士団に入る」
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