【コミカライズ】黒騎士様から全力で溺愛されていますが、すごもり聖女は今日も引きこもりたい!
「他のシスターにも報せて参りますわね。お食事はどうされますか?」
「まだ眠いからいいわ。うとうとしてる……」

 シスター・ケイトがいなくなった部屋で、ルルは大あくびをした。もうちょっとだけ眠ろうと思い、カメのように頭と手を毛布にしまいこむ。

 体を丸くすると完全に毛玉なので、初めてここに立ち入るものがいたら驚くだろう。
 美しく気高く、それゆえ民に聖女として崇められるルルーティカ王女なんか、どこにもいないではないか! と、失望するかもしれない。

 いや、失望させることもないか。とルルは思い返した。
 だって、見知ったシスター以外にここを訪れる者はいない。自分は永遠にここから出ない。王族として人前に出ることもない。

 ルルは、王女として箔をつけるために修道院に入れられたのではなく、父王に捨てられたのだから……。

『王族だというのに魔力を失ったなどと嘆かわしい。しかも顔に傷なんて、政略結婚にも使えまい』

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