【コミカライズ】黒騎士様から全力で溺愛されていますが、すごもり聖女は今日も引きこもりたい!
「私が魔力を持っているのもそのせいかと。魔力と言ってもひ弱です。灯りを点けたり消したり、光を呼んで夜道を照らすくらいしかできません」
「光を呼ぶ? そこのところ、詳しく教えて!」

 お買い得情報に飛びつくようにルルーティカは目を輝かせた。
 ノアは、それを不思議そうに見返す。

「昼間のようには明るくできません。夜空の星のような光の粒を辺りに出現させる、それだけです」
「その星って、昼間でも見える?」
「うっすらとなら見えます。キラキラと輝いている風に」
「うってつけよ!」

 ルルは、ノアの大きな手を、両手でがしりと挟んだ。

「ノアの魔力で、わたしをキラキラ輝かせてほしいの! 『修道院にお籠もりだった王女が、新たな聖王にふさわしい神聖さをたたえて戻ってきた! いかにも聡明そうで、怠けなさそうで、政治も外交も積極的にやりそう! これなら国を任せても安泰だ!』って思われるために!」

「聡明で、怠けなくて、何でも積極的にやるルルーティカ様……大嘘ではないですか」
「大嘘でもいいの。お兄様が帰ってくるまで、王位継承問題を長引かせられればいんだから。ね、お願い」

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