【コミカライズ】黒騎士様から全力で溺愛されていますが、すごもり聖女は今日も引きこもりたい!
 耳をそばだてていたマキャベルは、カンカンと木槌を打ち鳴らした。

「司教は発言を控えよ! ルルーティカ王女殿下は、かのユディト研究所爆発事故に巻きこまれて心を病まれ、聖王イシュタッド陛下がお隠れになった現在も、修道院にお籠もりである。よって、王位継承の意思はなしとみなす!」
「お待ちください」

 低い声に視線をやれば、表につながる大扉が開け放たれていた。
 ひづめの音も高らかに入場してきたのは、黒い一角獣とそれに乗った二人の男女――ノアとルルだった。横座りになったルルを、後ろのノアが抱きかかえて手綱をにぎっている。

「貴様ら何者だ」
「お分かりになりませんか?」

 背から降りたノアは、キルケゴールの首をとんとんと叩いて、ゆっくりと大聖堂を歩かせた。

 歩調に合わせて、ルルのベールが美しくひらめく。純白のドレスからシャラシャラと落ちる光の粒は、おとぎ話に出てくる黄金宮を満たす砂金のよう。
 輝きをまとったルルは、まさしく天からの祝福を一身に受ける聖女だった。
 
< 48 / 295 >

この作品をシェア

pagetop