【コミカライズ】黒騎士様から全力で溺愛されていますが、すごもり聖女は今日も引きこもりたい!
 ノアも座って紅茶をのんだ。ケーキはルルにだけ用意したらしく、お茶請けになりそうなものはない。
 彼が口を付けるカップは、羽根ハンドルのお揃いのものだ。ルルの方にはピンク色のラインが、ノアの方にはブルーのラインが入っている。

 平然と使っているから、ノアは何も感じていないのだろうけど。

(お揃いのものを使っていると、お互いに『特別な人』だって言い合っているみたい)

 意識すると、たちまちルルは恥ずかしくなった。
 ノアとは事情があっていっしょにいるだけ。
 恋人でもないのにお揃いの食器だなんて、ちょっとやりすぎたかもしれない。
 
 カップを置いて身もだえしていると、ノアが立ち上がった。近づいてきた彼に、ルルは目を瞬かせる。

「なあに?」
「じっとしていてください」

 ノアはルルの肩に手を置くと、顔を覗きこむように上体を傾けて、そのまま――頬にキスをした。
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