君がくれた青空
私はその日から彼の素顔が知りたくなった。

いつも笑っているのに目が笑わない。
どこか何かを抱えているその表情。
気になって仕方なかった。

ただ。
私は彼が私の作り笑いに
気付いているとは知らずに。

「おい、お前ほんとに楽しいの?」

ある日の放課後。
彼は唐突に私に話しかけて来た。

「どーしたのいきなり。」
私はいつものように作り笑顔で
彼に聞く。

「お前、バレてるよ、それ作り笑顔だろ。」

今まで誰にも気付かれなかったそれ。
ニコニコしていれば何もかもが平穏に
物事が進んだ。

「なに、言ってんの、?」

「別に無理に笑わなくてもいいんじゃねーの」

「無理になんて、」

「その顔見てるとイラっとする」

動揺を隠し切れない私に
バサッと落とされる言葉。

ほんとは誰かに気づいてほしかった。
無理して笑っていること。
ほんとは苦しいこと。疲れること。
でも言えなかった。
作り笑顔で築いてきたものを
壊す勇気なんてなかった。

それに気付かれたことが悔しくて。
でも少し楽になれて。
どうにもできなくて私は泣いた。

「ありがとう」

泣く前に意地で発した言葉。
それは本心だった。
私の闇に気付いてくれてありがとう。


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