君がくれた青空
スッキリと晴れた日曜日の昼下がり。

私は空港の近くにある中学校の
グラウンドにいた。

理由は、彼の野球を見るため。

「どこかおすすめの散歩スポットは?」

「羽田中かな」

「いやどこだし笑」

「試合会場」

「え?あ、、え?」

「見にくれば?」


彼に誘われて見に来た。
久しぶりの野球観戦。
昔はよく自分ができない代わりに
幼馴染みの野球をグラウンドの端で見ていた。
けれど受験をすると決めてからは
見に行けてなくて。
どこか懐かしかった。

そこで私が見たのは。

………彼の心からの笑顔。

学校では見たことのない程の曇りのない笑顔。
彼はそんな笑顔でバットを振っていた。

(悠介って笑うんだ)

当たり前のことなのに感動する。
見たことのない顔。
仲間と喜ぶ姿。
私はトリコになっていた。
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「試合見に来てた?」

「うん、お疲れ様ー」

「え、嘘?いた?」

「いたよ笑」

「背番号は?」

「6番。サード。」

「おぉ〜笑」

「何よ笑」

「いゃ、絶対いなかったって!
 俺見た時いなかったもん」

「そりゃ、真後ろにいたから、見えないよ笑」

「それはずるい」
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ずるいのはどっだよ。
私はそんなことを思いながらLINEを返す。

「次、決勝だから。勝つから。見に来て。」

予想しなかった言葉に焦ったけれど

「もちろん、頑張ってね。」

と返した。

ところが私はこの"頑張ってね"に
後から激しい後悔をした。

決勝の結果は負けだった。
惜しかった。互角の勝負だった。
9回表、試合は彼の三振で幕を閉じた。

試合が終わってすぐ。
彼は悔しそうにユニフォームを握りしめていた。
初めて彼の涙を見た。
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