君がくれた青空
あれから2年。

今日私は縁を断ち切ったはずの
グラウンドにいる。


私の心と青空を繋いでたはずのもの。
それは私の前から一瞬にして消えた。

幼馴染みの翔は去年の夏、
ずっと続けていた野球を辞めてしまった。
今は翔がどこにいるのか全くわからない。


私の光だった悠介も野球をやめた。
彼がやめた後、私は写真部に入った。
綺麗な青空を写真に残しておけば、
毎日澄んだ青空を見れなくても
きっと心は青空になるだろう。
そう思ったから。


そんな中で部活に密着するという
企画が持ち上がった。

本当は怖い。
けれど逃げてばかりいられない。
自分で居場所を見つけていかなくては、
そう思って始めたこの企画。

やるかやらないか最後まで悩んだ。
彼が出来なかったものを私が
取り続けていいのか。
きっとまた見ていたら、色々
思い出してしまうのではないか。
フラッシュバックで苦しくなるんじゃないか。

不安の渦に呑まれそうだった。
けれど、そんな私に決意させてくれたのは、
私に野球の楽しさを教えた幼馴染みだった。

“好きなものを追いかければいい“
“誰だって怖いよ、でも前向かなきゃ“

その言葉が刺さった。

私はまた球児の背中を追いかけることにした。
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