【短編】あなたの代わりに死ぬはずだった
病室のベッドの上で
高校入試を受けたのも知っている

制服を準備していたのも知っている

楽しみにしていたのも知っている

全部、感じられないまま
手にできないまま

いくらなんでも早すぎる

中学卒業に
少しの悲しさも感じないのに
人目を気にせず
大泣きしながら帰ったのを
あなたが見ていたら
きっと笑っていたでしょうね




無宗教の私がね
この時初めて神様に祈ったよ

あなたの代わりになれるのなら
私が死んでしまいますように

お願い
あなたを連れて行かないで

お願い
私から奪わないで

結局願いは届かなかった

私は15年経った今でも
残念ながら生きています




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