禁忌は解禁される
「全部…知ってるよ。
君達が想いあってることも、君が組を継いで何をしようとしているのかも」
「お前…全部知ってて、一颯と?」

「そうだよ。半年も待たされたからね。
理由知りたいじゃん!
君達のお父様とは、仕事のことで頻繁に連絡とってたし!
なにより、一目惚れだから……一颯に。
颯天くんにも会ってみたかったんだよね。
お父様が言ってたよ。颯天は俺を越えるって!」

「七夜さん…」
「一颯…もう一度言うよ。
全て知った上で僕は、君を妻に迎え入れたい。
颯天くんへの想いも、ちゃんと忘れさせてあげるよ?」
七夜の真っ直ぐな目を見る、一颯。

この人となら、普通に生きられるかもしれない。
そう思えていた。
でも━━━━━━


「無理だよ」


颯天の声が店内に響く。
「え?」
「あんたには無理。一颯を支えることも、守ることも……なにより、一颯の中から俺を忘れさせるなんて、できるわけない!
一颯、帰るよ!」
「颯天…」
「早く!!それとも、今ここで…コイツに見せつける?
一颯が誰のモノか」
「颯天!やめて!」
「は?」
「帰るなら、私は私で帰る!
七夜さん、お食事はまた後日お願いします」
一颯は店の外に控えていた、井田に電話をかけた。

「残念だけど、そうだね。
今度は二人で、ゆっくり……」
「はい、ではこちらへ」
頬杖をついて答えた七夜と、一颯を誘導する井田。

「ふざけんな……」
颯天の呟き。
とても小さな声なのに、その低く重い声は恐ろしく響いた。
「ねぇ…一樹って言ったな…?」
「え?」
「さっき一颯がいた、スイートルーム。
今日一泊させろ!」
「え…?」
そこまで言うと、レストランを出ようとしていた一颯の元へ行き、一颯を軽々と抱きあげた。

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