禁忌は解禁される
「違うよ!だから!颯天くんだよ!!」
「颯天?」
「颯天くん、かなりのシスコンでしょ?
大丈夫なの?」
「そうだね…」
「でも、銀二さんも凄かったよね…」
「でも、銀二さんは半殺しでちゃんと止めてたけど、颯天くんは本気で殺そうとしてたでしょ?」

そう言われれば、そうだったな。
ママが亡くなってからは特に………
あの時から、全てが変わり始めていたのかもしれない。
颯天を男として意識しだしたのも、この世界が嫌いになったのも全て、あの時から━━━━━━

「颯天には内緒にしようかな?」
「その方がいいかも…?」

「ねぇ、一颯」
「ん?」
「銀二さんって、一颯のこと好きなの?」
「は?」
「私、前から思ってたんだよね!
それこそ騎士みたいに、一颯のこと守るから」
実子が、唐突に言う。

「まさか…!私じゃなくて、ママのことが好きだったんじゃないかなって思うよ」
「そうかな?私は一颯だと思うんだよね。お似合いだと思うんだよなぁ」
「銀二さん、カッコいいもんね。私が一颯だったら、惚れるぅ(笑)」
「フフ…実子がお気に入りなわけね(笑)!」
可奈が笑いながら、言った。

「あ、バレた(笑)」
みんなで笑いあう、一颯達だった。


そして、みんなと別れ自宅に帰る。
「姫、おかえりなさいっ!」
みんなが出迎えてくれる。
「ただいま」

「あ、姫。
おかえりなさい」
銀二がたまたま玄関先にいて、挨拶してくる。

「………」
【お似合いだと思うんだよなぁ。銀二さん、カッコいいもんね!】
実子の言葉を思い出していた、一颯。

「姫?何か?」
「うん、確かにカッコいいかも…!」
「は?」
「ううん。なんでもない!ただいま」
そう言って、部屋に戻っていく一颯だった。
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