禁忌は解禁される
「一颯が、ここを出ていくには結婚しかねぇからな!
そりゃあ、婚活パーティーくらい行くだろ!?
お前に止める権利はねぇぞ!颯天。
でも、ちゃんと守れるように俺が、銀二をつけたんだ。こんな場合は銀二じゃねぇと任せられねぇからな」
いつの間にか颯太がいて、颯天に言った。

「俺には止める権利、あんだよ……!?」
「へぇーなぜ?」
「うるせー、じじぃ……
で?姉ちゃんは?」
「部屋だ。飯も食わずに籠ってる!」
「そう…」

颯天は、そのまま一颯の部屋に向かった。

「あの目…」
「ん?」
「組長にそっくりです」
「あーそうだな…」
「血の繋がりがなくても、こんなにも似るんですね…」
「颯天の父親も、ヤバい奴だったからな。
アイツが生きてたら、俺を越えてたはずだ。
だから、颯天は俺を越える」
「……ほんと…恐ろしい方だ………あなた方は」

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「一颯。俺…颯天。
入るよ!」
中に入ると、一颯は律子の写真を見ていた。

「その写真……」
「颯天が中学生になった時の写真だよ」
颯太、律子、一颯と颯天が四人で写っていた。
「この時が一番…幸せだった」

「一颯…」
この写真を撮って一週間も経たない内に、律子が亡くなったのだ。
「この時は、まだ颯天も喧嘩なんてほとんどしたことなかったし、ママも生きてたし、お父さんも魔王じゃなかった」

「………俺は今、幸せだよ?」
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