禁忌は解禁される

｢いい…？
なんかあったら、すぐに━━━｣
｢連絡するよ。井田くんがいるし、大丈夫だよ！｣
｢なんで、こんな時に銀二はいねぇんだよ！｣
｢今日はお父さんと仕事なんだから、しょうがないでしょ？｣
｢若、俺だって、姫をちゃんと守れます！｣
｢わかってるよ！｣
｢若、もう時間ですから………姫、行きましょう。
若も仕事行かないと……｣
そこまで言うと、しぶしぶ仕事に出かけた颯天だった。

｢颯天！｣
颯天の後ろ姿に呼びかける、一颯。
｢ん？｣
｢帰ったら、聞いてほしいことがあるの！｣
｢わかった！｣
後ろ手に手を振る、颯天だった。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
｢お久しぶりです、七夜さん｣
｢こんにちは、一颯…｣
そこには……あの日と変わらない、七夜がいた。

｢やはり綺麗な人だ……｣
｢え？｣
｢でも、あの日と違う……｣
｢え……あの…｣
｢颯天くんと生きるんですね…？｣
｢どうして？｣
｢一颯を見れば、わかる。
何かを決心して来たことくらい。
………だから、僕も決心しました｣

｢え━━━━━？｣
｢姫！？｣
途端に周りにいた、ホテル従業員達に囲まれた、一颯。
何かを嗅がされて、倒れた。

｢てめぇ等！姫に何を━━━━！！！？｣
井田が一颯に駆け寄ろうとする。

｢あ、動いたら…大切なお姫様が、傷つきますよ？
お前等の女王様のように……｣
しかし、それは叶わなかった。
男が、一颯の首にナイフを突きつけたから。

｢え━━━━
お前…霧島………｣
｢一樹様と、手を組んだんだよ！
てか、律子より美人だな！
ヤバい…｣
霧島が、一颯に頬擦りする。

｢姫に触るな！！！！｣

｢颯太に言っとけ！
また、殺り合おうぜって！｣