禁忌は解禁される
ガン━━━━━━━
颯太の畳を殴る音。

「申し訳ありません!!!!!」
井田が、畳に頭を擦り寄せるようにつけて土下座している。

「だから、嫌な予感がしたんだ……やっぱ姉ちゃんを止めるべきだった」
「組長………!!!」
「あぁ、銀二。
行くぞ!
一颯を……大切な“姫”を取り返しに行く!
もう…あの時のようにはさせない!!」
「はい、絶対に……赦さねぇ……」

「親父、母さんの仇だ!俺も行く!」

組総出で、向かうのだった。

それはあの時と同じように、この日も雷の鳴る大雨の日だった。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「ん……」
「おはよ、一颯…」
「七夜、さん…?
え?ここは………」
周りをキョロキョロする、一颯。

「ここは、あなたのお母様が亡くなった“あの”場所ですよ」
「え…?」

「同じなんです。あの時と………
霧島組、大雨、雷、神龍の宝物。
全て━━━━━━」

「七夜さん、母のこと………」
「知ってますよ。全部調べたって言ったでしょ?」
「どうして……」
「僕だって、あなたが好きです。
でも、あなたは颯天と生きるんですよね?
散々言ってたじゃないですか!ヤクザは嫌って!」

「それは……ママの想いを聞いたから……」
「は?」
「あなたには、関係ありません!」

「一樹様、神龍が来ました!」

「さぁ…どっちが生き残るかここで、僕と鑑賞しましょうね……」

「みんなのとこに返して下さい!」
「ダメですよ!あなたが動いたら、首…切れますよ」
一颯の首には、ナイフがつきつけられていた。

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