禁忌は解禁される
「一颯!!」
「お父さん!
颯天!みんな!」
怒りに満ちた、神龍組のみんな。

「てめぇ!姉ちゃんを離せよ……」

「あーその白い線からこっちに一歩でも入ったら、あなたの愛する一颯が死にますよ?」
「は?」

「娘を返せ!」
「ほんと……あの時と同じですね?
霧島組、大雨、雷、お姫様の救出。
それから、後は……この後奥様は━━━━━」

「言うな!!これ以上…一颯を傷つけるな!!」

颯太の怒りの声。
一颯はただ怖くて、震えていた。
みんなのこれ程の怒りに満ちた表情を、見たことがなかったから。

「どうすれば、みんなを助けてくれるの?」

「ん?」
「七夜さんなら、どうにかできる?」
「もちろん!簡単ですよ。あなたが…僕のモノに…なれば、いいだけです」
「そう…そうすれば、みんな、無傷で助かるの?」
「えぇ」

「だったら…お好きにどうぞ…………?」
感情のない表情で、一颯が言った。

「…………いいの?」
「はい」

「一颯!!何言ってんの……?」
颯天の悲痛な叫び。

「ただ、最後に颯天と話がしたい。
こんなことになるとは思ってなかったから、何も颯天に話してないの。
七夜さん、お願い……」
「いいよ。じゃあ…5分だけね!でもここで話して!」
ナイフが一颯の首から離される。

「颯天…こっち来て?」
ゆっくり颯天が一颯の元へ。
そして力強く抱き締めた。
「颯天、落ち着いて聞いてね」
「ん?」

「私と颯天はね、本当の姉弟じゃないんだよ」

「え…?」
バッと、弾かれたように一颯の顔を見る颯天。
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