禁忌は解禁される
成人式が終了し、帰ってきた颯天。

「坊っちゃん!お疲れ様ですっ!」
神龍寺家の門が開き、ズラリと部下達が並び挨拶をする。
その真ん中を堂々と歩く、颯天。
その姿は、颯太に負けず劣らずの風格があった。

颯天の覚悟が感じられた。

「組長がお待ちです」
銀二の誘導で、颯太や一颯が待つ広間に向かう。

「颯天坊っちゃん、お帰りになりました」
「ん」
「おかえり、颯天。
成人おめでとう!」
「うん」
そこには、颯太、一颯、銀二とその他幹部が揃っている。
「坊っちゃん!おめでとうございますっ!」
「うん」

「そこ、座れ」
颯天が颯太の前に座る。

「お前の覚悟を教えろ」



「俺は、この世界で生きていきたい」



「そうか…やっぱりな……
迷いはないな…!」
「もちろん!」
ここにいるみんなが、おそらくそう言うだろうと思っていた。
そして、颯天も迷いのない目で颯太を見据えていた。

「そうか。その覚悟を忘れるな!
銀二、後はよろしく!」
「はい」

「あと、一颯」
「ん?」
「見合いのことだが」
「うん」
「先方に話したら、今すぐにでも会いたがってたが…
どうする?」
「じゃあ…明日にでも……」
「わかった。準備させる」
「うん」

「ちょっと待てよ!!」
颯天が口を挟む。

「なんだ?颯天」
「姉ちゃん、見合いすんの!?」
「そうだよ」
「颯天も知ってんだろ?
一颯がこの家が嫌いなこと。
だいぶ、先方も待たしたしな」

颯天の信じられないと言う風な目。

「颯天?」
「どうした?颯天」

「ふざけんなよ………」

顔を見合わせる、颯太と一颯。
颯天は、今までにない黒い闇に包まれていた。
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