オフィスの華(令和版)~若社長と秘書のHONEYなヒミツの関係~
シンデレラの落とし物~祐早斗side~
「昨日はご馳走様でした。社長」

「あぁ」

栗原は朝から何度も昨日のディナーの礼を言う。
普段はろくなモノを食ってないようだな。まぁ、社交辞令だと思い、軽く流した。

「それよりもお前…社章バッジ落としただろ?」

「えっ?俺は着けてますよ」

栗原は上着の襟元に付いた社章バッジを見せる。

「テーブルの下に落ちてたぞ…」

「あ…それは予備のバッジです…社長」

栗原が慌てた様子で俺の持ってる社章バッジに手を伸ばす。

「…社章バッジの支給に予備はないぞ。一人に付き一つのはずだ」

「・・・」
栗原は口を噤み、眼鏡を弄る。
彼にしては焦っていた。

「…お前のモノでなきゃ誰のモノだ?ま、まさか・・・華のモノ??」

華は勤め先は大手化粧品会社だと訊いたが、嘘なのか?

「・・・社長…それは華さんのモノです…」

栗原は俺に考え込む俺に向かって断言した。

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